業務プロセスの改善で得られること
業務プロセスの改善で求められること
多くの業務改善は、「ムリ・ムラ・ムダ」を廃除して業務量の削減等を行って業務効率化を計っていたり、人のモチベーションを上げる意識改革を行ったりして「業務改善」を行っている場合が多いです。しかし、ほとんどの場合、その改革は継続されないです。それは、人が切り離されて業務についているからです。
本来あるべき業務のプロセスは、人と業務が密接に関わり合って順序良く展開されてゆくもので、そのプロセスの順序を変えることは許されません。しかし、その順序が分からない私たちは、本来のプロセスにアクセスすることから始まります。
従来の業務に切り込む視点とは、人との「関わり」および業務の「流れ」の矛盾(問題点)を見つけることです。
人との「関わり」の視点
業務は多くの人との「関わり」によって成り立つものであり、まず、「人」の関わり方に注視し、人の関わり方をしっかりと見ることが大切です。
例えば、自部署と他部署との関わり方はどうだろうか。必要な情報は受け取っているだろうか。求められている情報は提供しているだろうか。関係部署との情報の共有は計らえているのだろうか。
このようなことを整理するだけでも改善テーマ(検討すべき課題)は見えてくるものです。問題が明確になれば、改善されたイメージや改善案は現れやすくなります。
業務の「流れ」の視点
次に、業務プロセス改善に求められるものは「流れ」です。業務の「流れ」、または、製造物の「流れ」をよく見ることです。
1つの業務に、あるいは、1つの工程に人がどのように関わっているかを把握することです。一つ一つのチェックが業務改善に、安全管理にも最小単位の大切な活動です。
つまり、日程に関することでは、納期や生産計画日程表であり、工程に関することでは源流工程、ネック工程、最終工程の把握であり、所要時間では計画加工時間と実加工時間のギャップであり、SCMでは工場内のリードタイムであり、顧客からの全体の最適化SCMであり、情報に関しては情報収集力、情報管理力、情報加工力となる。
これらが、リンクして展開したときに最適な「流れ」となります。業務プロセスの改善が目指すものは、「流れ」の最適化です。
最後の締め括りとしての定着化
業務プロセスの改善は、改善されたシステムの構築後にどのように運用されているかということが大事なポイントです。
私たちの中には、一つものを創り上げ、形にすると完成したような誤解を与えます。意識の上で見落としてはならない視点です。それがフィニッシュ感覚です。この気持ちになると、思考停止に陥ります。ですから、業務プロセスを改善し、システムが構築された後の運用を注視してゆかなければなりません。
よく知られているハインリッヒの法則があります。一つの大きな事故・災害の裏には、29件の軽微な事故・災害、そして300件のヒヤリ・ハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)があるとされています。
システムの完成度を高めるには、ヒヤリ・ハットに相当するシステム上の違和感を見つけてゆくことです。人間が持っているバランス感覚は「違い」を見つけるにはとても重要な完成であることを知って頂きたいです。
そして、この違和感を磨く方法があります。それは、業務に関わる方たちとの協働・共有です。これこそ、業務改善のツボです。